タクシー業界ニュース2020【金曜日更新】

ここではタクシー業界の最新ニュースをお届けします。とかくメディアや口コミなどで「何を信じてよいかわからない…」というお話しもよく頂きます。現在の取り組みや意外と知られていない情報など、何かお役に立てれば幸いです。

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随時更新しますので、宜しくお願いいたします!

2020年2月

▼【2/28】 帝都自動車と京王自動車、業務提携開始。

首都圏タクシー大手四社の帝都自動車交通(京成グループ)は、私鉄系タクシー「京王自動車」と令和2年2月24日付けで、タクシー業務の提携を結んだ事を発表した。

今後京王自動車のタクシー車体は順次帝都自動車の仕様に切り替わりを進めていくとのこと。

『東京私鉄自動車協同組合(以下:私鉄協)』時代の行灯もすべて帝都自動車交通に変更となる。車体色は黒色で統一する予定で、京王自動車で行っていた無線配車業務は帝都無線共同配車センターで行う。

帝都自動車の車両。
今後京王自動車の車両も順次更新していくとのこと。

昨年9月中旬の発表から約5か月余り、ついにこの日を迎えた。これに伴って京王自動車・小田急交通・京急交通の3社で組織していた私鉄協は同年2月23日をもって共同配車業務を終了。
なお、残り2社は小田急交通が「私鉄共同無線センター」を立ち上げ、京急自動車と共に今後引き継ぐ形となる。

昨年のタクシー業界ニュース「2019/9/27 京王自動車が帝都自動車と業務提携

▼【2/21】 国交相がタクシー会社の対策を視察。

タクシー会社視察の様子。
二種旅客業はなんとしても乗り越えなければいけない場面に
直面している。

赤羽国土交通大臣は2月16日、新型コロナウィルスに対するタクシー会社の対策を視察した。
当日は東京都足立区にあるタクシー会社の営業所を訪れ、車内搭載のシートベルトや手すりを消毒する様子などを視察。国土交通省としてタクシー・バスの2種旅客業団体に対しマスク着用の徹底、さらに体温測定による健康管理を含めた感染対策の徹底を要請、「今回のコロナウイルスの感染経路が若干不明な事案も出てきたことに対して、官民挙げてしっかり対決していくんだという思いで通達を出させていただいた」とのこと。

 また、事業所単位でも不足が懸念されるマスクについても「交通事業者に対しても優先的に供給される態勢が必要」とし、関係省庁と連携し購入手当の導入を検討するなど、対応を急ぐ考えを示した。

都内のタクシー会社も乗務員のマスク徹底とアルコール消毒、そして連日の点呼時による注意喚起を怠らずに行う姿が目立った。各社が無線会社の垣根を超えてこの困難を乗り越えていかなければならない状況だ。

▼【2/7】 国内2大配車アプリ「JapanTaxi」と「MOV」が今春統合へ

戦国時代の配車アプリ業界はついに経営統合という形で
再出発を図る。

タクシー大手四社で配車アプリ『JapanTaxi』を提供する日本交通とDeNA社は2月4日、今春4月1日より両社の配車アプリを統合することを発表した。
DeNA社が配車アプリ事業(MOV)を分割し、JapanTaxiに合流する形となる。統合後は社名を変更する予定とのこと。

タクシー業界が思うよりも配車アプリの世の中への浸透が
まだまだ道半ばであることが浮き彫りになった今回。
今回の統合は大きな打開策を発見できるか注目だ。
(左から日本交通代表川鍋代表・DeNAの中島常務執行役員)

配車アプリ業界では現在、各社で割引クーポンをはじめとするサービスを行うなど、競争が激化。
現在日本では主にソフトバンク社と中国の滴滴出行の共同出資で運営する『DiDiモビリティジャパン』(東京・大阪など23都道府県で展開)
ソニー社とタクシー会社各社が共同で出資するみんなのタクシーが都内を中心に手がける配車アプリ『S・RIDE(エスライド)』
また、ウーバー社の日本法人『ウーバージャパン』も大阪府や福岡県で展開している。

今回の統合の経緯は『JapanTaxi』の昨年5月期の売上高は19億円となったものの、営業赤字は21億円であったことが大きい。
また、DeNA社も『MOV』を展開するオートモーティブ事業が昨年3月期に36億円の営業赤字を計上した。


両社ともメディアやポスティングをはじめとした広告活動を精力的に行ってはきたものの、利用頻度や認知度の向上とまでは行かず、この度統合という形で再編をすることとなった。

MaaSも含め、需要と供給の利便性向上がどんどん進んでいく…かと思いきや、ある統計によると国内の月間タクシー輸送回数は約1億回に上るものの、国内の全配車アプリシェアはたったの約2%だったそうです。私も首都圏に限らず、多摩地区や神奈川県内の営業所に回る機会がありますが、現状は乗務員さんの高齢化による 「覚えられない」「スマホサービスへの警戒」「地域的に根付かない」と言った話が多く寄せられたのが印象的でした。勿論、地域によってはものすごく成果を上げている場所もありました。ですが、従来通り「地域密着」や「元々常連顧客が定着している」「現状のままでも不便がない」ような地域ですと、圧倒的に月間のアプリ配車は少なく、そうなれば乗務員さんもなかなかご用命に上がる機会も減っていくという連鎖が起こります。すべてが首都圏や神奈川京浜地区の一部と同じ照準で考えてしまうと、かなり分が悪いサービスではないかと、ここに来て浮き彫りになってきた矢先の統合→新たなサービス模索という形を取ったのでしょう。MOVは神奈川京浜地区では特に需要が大きいので、そのビジネスモデルを無駄にせず、今後はより地域だけでなく、利用者のニーズ、そして使用する会社・乗務員のニーズ、メリットを深く考えるべきではないかと思います。配車アプリ会社があまりにも増えすぎたため、統合という形で一旦の収縮を図るのは、これから先も出て来そうな予感がいたします。

2020年1月

▼【1/31】 日本交通がセダン約1500台を「JPN TAXI」へ切り替え完了

タクシー大手四社の日本交通は1月24日、自社直営の事業所に配属のセダン型車両約1500台を、トヨタ社の「JPN TAXI」への切り替えを完了したと発表した。
2017年に発売された次世代型タクシー車両で、セダン型車両からの置き換えが全国的に進行。
現在日本交通では直営営業所以外の提携会社でも導入が進んでいるとのこと。

首都圏では順調に置き換えが進んでいるが、
営業所、無線会社によってまだばらつきもある。
従来のタクシー車両に比べて快適性は
大きく向上している。

2019年末現在、都内全域の同グループ内タクシー車両4605台のうち約6割の2836台が「JPN TAXI」となっている。
尚、配車の際はタクシー配車アプリ「JapanTaxi」での車種指定も可能とのこと。

日本交通によると、「JPN TAXI」は広い室内空間・スライドドアなどお客様には非常に好評で、実際に乗車された方の約86%が「広くて快適」、約76%が「また乗りたい」と回答している(日本交通自社リサーチ状況)。

▼【1/24】 東京2020へ向けてMaaS実証実験スタート。

いよいよ今夏に迫った『東京オリンピック・パラリンピック』へ向け、訪日観光客が主要空港から都内へ移動の際にスムーズに誘導が可能なMaaSの実証実験が日本交通、日の丸交通、ZMP、東京空港交通、東京シティ・エアーターミナル、三菱地所、JTBの7社企業参画の下、1月20日から開始された。

※自動運転タクシーは、安全面確保の観点から運転手が同乗する。

内容はリムジンバスが従来通り羽田・成田空港からT-CAT(東京シティエアターミナル)を走り、以降は東京丸の内まで自動運転タクシーが運行。目的地に到着すると、なんと1人乗りの自動運転モビリティ(ロボカー・ウォーク)に乗換え、移動するという形だ。

乗車の際は事前にスマートフォンなどから専用アプリをダウンロードし、目的地を予約。現地に到着後はQRコードを読み込む形でスムーズにお客様を運ぶ。

1人乗りの自動運転モビリティ(ロボカー・ウォーク)
数年後はこの風景がありふれた日常となるか。

実証実験は2月1日まで行い、早期に事業化を目指していく。尚、すでに予約で満席とのこと。実証実験に先立ち、日の丸交通の富田和孝社長は『今回の実験を通じて、配車フラットフォーマー、自動運転を開発しているメーカー、タクシー事業者が連携して新しいサービスを担えるということを証明したい」と語った。

▼【1/17】 新大阪駅タクシー乗り場を2月よりリニューアル。

新大阪駅の新幹線南口タクシー乗り場。
観光客・出張族からは「非常にややこしい」ので有名。
今回ようやくテコが入りお客様もタクシー事業者も一安心というところ。

大阪市域交通圏タクシー特定地域協議会活性化分科会ワーキンググループは、新大阪駅タクシー乗り場をリニューアルすることを発表した。令和2年2月1日よりスタートする。これらを受け、「小型車」「中型車」「近距離車」の3区分に分かれていた乗り場を統合し、『新幹線南口のりば』・『東口のりば』・『阪急ビルバスターミナル1階のりば(阪急専用)』3か所のタクシーを車種区分や距離に関係なく併用できるようになる。

一応差別化は図っていたものの、
なかかな判別も難しく…。

新大阪駅のタクシー乗り場はこれまで近距離乗り場は概ね3キロ圏内と定めており、ドライバーの見極めが困難であり、乗車しようとしたタクシーのドライバーから近距離乗り場に行くよう指示された乗客が『乗車拒否』と受け止めるケースも度々発生しており、苦情やトラブルが絶えなかった。

タクシー事業者も統合を求める声が多く、一昨年の提案事例もあり、今回ようやく実現に至った。
大阪府全域を含む近畿圏のタクシーは2月1日に運賃を改定することが決定しており、乗車料金に関してはこれまで「小型車」と「中型車」とで分かれていた車種区分を「普通車」に統合する。

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